90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。
ヒットソングだけを取り出してみれば、確かに耳馴染みの良い王道J-POPな楽曲で溢れていますが、ひとたび『GLAY』の世界へ足を踏み入れると、そこには成功者ゆえの苦悩に満ちた孤独の世界を垣間見ることができます。
そこは我々凡人にとっては到底辿り着ける境地ではありませんが、その途方に暮れるほどの景色を、TAKUROの紡ぐ言葉とメロディーによって私たちもほんの少しだけ追体験できるような気がします。
今回は、『GLAY』の楽曲、『君が見つめた海』のレビューです。
※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY
『君が見つめた海』の全体概要
基本情報
アーティスト | GLAY |
曲名 | 君が見つめた海 |
演奏時間 | 4:07 |
作詞 | TAKURO |
作曲 | TAKURO |
編曲 | GLAY & 佐久間正英 |
『君が見つめた海』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
ONE LOVE | 14 |
オリジナルアルバム『ONE LOVE』の14曲目に収録。
※『君が見つめた海』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
爽やかさと切なさを兼ね備えた1曲、『君が見つめた海』。
シングルと比べても謙遜の無いくらいキャッチーなメロディーの作品なのですが、こういったレベルの楽曲がしれっとアルバムの片隅に添えられているところに、『GLAY』というバンドの底の深さを感じますね。
本作『君が見つめた海』はTAKUROの祖母に宛てた歌だと言われています。確か、この祖母のくだりはTAKUROの著書”胸懐”にて言及されていたはず。
歌詞中に出てくる2人称の「君」、および3人称の「彼女」、どちらも祖母を指していると思って聴けば、なるほど、歌詞の意味も納得できるのではないでしょうか。
また、”胸懐”に記載されている祖母のくだりを知ってから本作『君が見つめた海』を聴くと、歌詞中の全ての言葉がリアリティを持って聴こえてくることと思います。
そんなバックグラウンドを持った本作『君が見つめた海』、この楽曲の聴きどころはCメロ明けの1発目のサビだと思っています。リズム隊が止み、ボーカルとエレキギターのみのパートになるところです。
ボーカルとギターの掛け合いがかっこいいのは言わずもがななのですが、ベースもドラムも鳴っていない中、静寂を切り裂くようにかき鳴らされるギターの音、これになんとも言えない孤独を感じるのです。
リズム隊を失いながらも演奏を続ける様子が、まるで本当に大事なものを失った姿を描いているようで…。
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