宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
2006年突如解散してしまいましたが、最近になってライブを開催してみたりファンクラブを再始動させたりと、復活の香りを感じる出来事に再始動を期待してしまいますね。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『自■の理由』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT
『自■の理由』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | 自■の理由 |
演奏時間 | 5:42 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | Pierrot |
本作は過激な曲名になっているので、Google先生に怒られないよう、一応伏字にしています。本来の曲名は…ググれば普通に出ます 笑。
なお、アルバム『パンドラの匣』収録版はオープニングに”セリフパート”が入っているため演奏時間が5分を超えますが、『DICTATORS CIRCUS -奇術的旋律-』収録版はそのパートがごっそりカットされ4分台の演奏時間になっています。
『自■の理由』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
パンドラの匣 | 1 |
DICTATORS CIRCUS -奇術的旋律- | 1 |
インディーズアルバム『パンドラの匣』の1曲目に収録。
そして再録ベストアルバムの『DICTATORS CIRCUS -奇術的旋律-』でも1曲目に収録されています。
※『自■の理由』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
オブラートに包まない直接的な曲名に中二病を心をくすぐられて仕方ない楽曲が本作『自■の理由』。現代のコンプラ社会において、この文字列は少々中身むき出しすぎですので、私が意図的に”■”というオブラートに包んでお届けしています 笑。
本作『自■の理由』、戦慄的アルバム『パンドラの匣』の1曲目にふさわしく、背筋ゾクゾクな作品となっています。
3拍子と4拍子を行ったり来たりする楽曲を1曲目に配置するあたり、『PIERROT』というバンドの変態性(褒め言葉)がよく表れています。
しかし、この3拍子と4拍子の行ったり来たりが良く出来てるんですよね。3拍子+短調で『自■の理由』という楽曲の気味悪さを演出しながら、Aメロ、Bメロ、ギターソロといった楽曲の中間部分は4拍子でスピード感を出すという構成は何度聴いても聴き飽きません。
それから、拍子が変わるタイミングで転調しているのも芸が細かいです。
さて、これだけ過激な曲名がついているわけですから、やはり気になるのは歌詞ですよね。
本作『自■の理由』の気になるところと言えば、「彼」と「貴方」の二人が登場人物となっており、“一人称”がすっぽりと抜けているところです。
“曲名の行為”を行うのが「彼」で、それを”語り手”が状況説明しているように思えますが、どうも”語り手”が一人称的に振る舞っているようにも聞こえるのです。つまり、”曲名の行為”を「彼」が実行し、かつ、”語り手”も”曲名の行為”を実行した当事者のようにも聞こえるということです。
これはどういうことか。「彼」=”語り手”とするなら、三人称の「彼」ではなく、”私”や”僕”といった一人称を使えばいいはずです。なぜ、わざわざ三人称の「彼」を使っているのか。
これは私の考察ですが、”曲名の行為”を実行する前後で「彼」と”語り手”に分けられているのではないでしょうか。
つまり、“語り手”の生前が「彼」であり、「彼」の死後が”語り手”であるということです。生前の自分(「彼」)が”曲名の行為”に至るまでの状況を死後の自分(“語り手”)が見つめている、そういう物語だと思えば、複雑な人称関係も納得して理解できます。
…が、本当のところはわかりません 笑。
『自■の理由』収録アルバムレビューリンク
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