宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
アンダーグラウンド界のカリスマボーカル”キリト”と、奇天烈なサウンドで世界観にいろどりを添えるバンド隊の組み合わせはまさに唯一無二の存在。90年代後半から00年代前半にかけて数々の奇作を世に送り出し、潜在的中二病患者の爆発的発病に多大な貢献をしました。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『ラストレター』のレビューです。
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『ラストレター』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | ラストレター |
演奏時間 | 6:01 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | Pierrot & 成田忍 |
メジャー4thシングル。
『ラストレター』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
FINALE | 10 |
DICTATORS CIRCUS -A variant BUD- | 4 |
HELLO COMPLETE SINGLES AND PV COLLECTION (Disc 1) | 6 |
メジャー1stアルバム『FINALE』の10曲目に収録。
※『ラストレター』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
キリト執筆の短編小説”チェリー・トゥリーズ”が同封された4thシングル、その表題曲が本作『ラストレター』。
『PIERROT』にとって、最後の8cmCD(懐かしい…!)となったのも本作『ラストレター』です。
1stシングルの『クリア・スカイ』から3rdシングルの『ハルカ…/カナタヘ…』までは、現実離れしたファンタジー的終末感を描いた作品が続きましたが、4thシングルの『ラストレター』は太平洋戦争中の日本という現実の世界を舞台とした楽曲になっています。
特攻隊として死を覚悟した青年が書いた「君」への手紙。それが『ラストレター』という言葉の意味です。歌詞中にて”さいご”という言葉を一貫して「最期」と表現しているところに、主人公の待ち受けている未来が”死”であることが暗に伝わります。
それから、1番Bメロの歌詞が美しいですね。”川の清らかな流れ”と”死に対する迷いのない覚悟”を重ねて表現すると同時に、「まだ見ぬ向こう岸」という言葉がいわゆる”三途の川”をリスナーに連想させ、死へ向かっていく主人公の避けられない運命を詩的に描いています。
インディーズアルバム『パンドラの匣』から中二病心に響く迷作(?)を連発してきた『PIERROT』ですが、メジャー4thシングルの本作『ラストレター』にて、とうとう中二病を超越した普遍的名作が生まれたという感じがします。
『PIERROT』というバンドの持つ独特な宗教的雰囲気が受け付けない方でも、本作『ラストレター』の良さはすんなりと理解できるのではないでしょうか。
『ラストレター』収録アルバムレビューリンク
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