宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
2006年突如解散してしまいましたが、最近になってライブを開催してみたりファンクラブを再始動させたりと、復活の香りを感じる出来事に再始動を期待してしまいますね。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『Far East ~大陸に向かって~』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT
目次
『Far East ~大陸に向かって~』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | Far East ~大陸に向かって~ |
演奏時間 | 5:51 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | Pierrot |
『Far East ~大陸に向かって~』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
パンドラの匣 | 7 |
インディーズアルバム『パンドラの匣』の7曲目に収録。
※『Far East ~大陸に向かって~』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
本作『Far East ~大陸に向かって~』、実に挑戦的な1曲と言えると思います。
なんといっても、オケがシンセのみでパーカッションすらないというバンドサウンドをガン無視したアレンジが印象的です。ふわ~っとしたシンセをバックにボーカルが淡々と歌うというのは、ロックバンドの楽曲としてなかなかに異端な存在です。
例えば、楽曲の冒頭のみシンセ+ボーカルというシンプルな構成にして雰囲気を作るといったアレンジはロックバンドの作品でもよくある形だと思うのです。しかし、本作『Far East ~大陸に向かって~』は、まさか6分に迫る演奏時間まるまるこの構成で行くという衝撃!
初めて聴いたときは“マジか!?“って思いましたよ 笑。
これ、ライブで演奏するときはどうするんでしょうね。ボーカルのキリト以外は全員やること無さそうなんですけど 笑。
一応ギター担当の潤がギターシンセを使って飛び道具的なサウンドを出したりするので、彼がシンセのふわ~っとした音を出す役目を担うのかもしれませんが…そもそも”ライブでは演奏するつもりがない”という位置づけの楽曲かもしれません。
さて、本作の曲名の「Far East」ですが、これは”極東”という意味です。世界地図で言えば、日本、中国、韓国あたりの東アジアが”極東”に該当します。
そういう前提に立って『Far East ~大陸に向かって~』という曲名を見ると、なかなか解釈が難しいんです。
例えば、”Far East ~あの島に向かって~”という曲名であれば、ヨーロッパでもインドでも、どこかの場所をスタートとして極東の島である日本に向かっていると解釈できます。しかし、本作のサブタイトルは「大陸に向かって」なんですよね。
なので、少なくとも極東の島国である日本はゴールではないと。
一方、中国や韓国は極東の大陸に位置する国なので、ここがゴールなのかなと考えることもできなくはないのですが、そうすると、”スタート地点ってどこになるの?”という疑問が生まれるのです。
例えばヨーロッパをスタートとすると、中国も韓国もヨーロッパと同じユーラシア大陸に存在するので、「大陸に向かって」というのは変なのです。ヨーロッパから中国や韓国を目指すのなら、大陸という言葉を使わず”Far Eastに向かって”という表現になるはず。
では、ユーラシア大陸以外をスタートと考えればいいのでは?というところになるわけですが…ユーラシア大陸以外からユーラシア大陸を目指すなら、果たして”極東に向かう必要があるのか?”という疑問も出てきてしまうのです。
アメリカ大陸やアフリカ大陸をスタートとしてユーラシア大陸に向かうならヨーロッパ側へ向かう方が近いですし、オーストラリア大陸をスタートとするならば、東南アジアがユーラシア大陸における目指すべき上陸地点でしょう。
…長々と書きましたが、これ、「Far East」が“ゴール地点”ではなく”スタート地点”を指していると考えればすんなり解釈できます。
単純に、”極東をスタートに大陸を目指す”わけですね。”極東”には島国である日本がありますから。
つまり、日本をスタートとして大陸を目指す、そういう”極東のとある国の物語”という意図をもってつけられたタイトルだとすれば、なるほど、納得です。
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