90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。
ヒットソングだけを取り出してみれば、確かに耳馴染みの良い王道J-POPな楽曲で溢れていますが、ひとたび『GLAY』の世界へ足を踏み入れると、そこには成功者ゆえの苦悩に満ちた孤独の世界を垣間見ることができます。
そこは我々凡人にとっては到底辿り着ける境地ではありませんが、その途方に暮れるほどの景色を、TAKUROの紡ぐ言葉とメロディーによって私たちもほんの少しだけ追体験できるような気がします。
今回は、『GLAY』の楽曲、『ALL STANDARD IS YOU』のレビューです。
※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY
目次
『ALL STANDARD IS YOU』の全体概要
基本情報
アーティスト | GLAY |
曲名 | ALL STANDARD IS YOU |
演奏時間 | 3:21 |
作詞 | TAKURO |
作曲 | TAKURO |
編曲 | GLAY & 佐久間正英 & dj honda |
アレンジはdj hondaとのコラボレーション。
『ALL STANDARD IS YOU』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
ONE LOVE | 1 |
UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY | 13 |
REVIEW II -BEST OF GLAY- (HISASHI盤) | 2 |
メジャー6thオリジナルアルバム『ONE LOVE』の1曲目に収録。
また、続く7thオリジナルアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』には『ALL STANDARD IS YOU 〜END ROLL〜』として最終トラックに収録されています。
※『ALL STANDARD IS YOU』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
シンプルに刻まれるビートと、静寂を縫うように遠くから響くように聴こえるピアノのコラボレーションが美しい1曲、『ALL STANDARD IS YOU』。
宇宙空間を漂うような、”空白”を意識した音作りなのだと思いますが、この聴き心地がこれまでの『GLAY』には無い新鮮な感じがしました。
さらに、楽曲の要所要所で切り裂くように炸裂するエレキギターもかっこよく、『GLAY』がロックバンドであることをしっかり主張しています。
そして何より印象的なのはサビの歌詞ですかね。
このサビ、一言で言えば“否定形であふれる詞なのに、愛に満ちた言葉”という感じ。
いや、むしろ、否定形を重ねた二重否定を連発することで「あなたの」存在を強い力で全肯定している…という表現が正しいでしょうか。早口気味で畳みかけるような歌い方も相まって、かなりインパクトのあるサビです。
ただ、一方で、ここまで全肯定されると”重い”と感じる人もいるかもしれません。曲名からして”『ALL STANDARD IS YOU』(全ての基準はあなた)“ですし。
私は本作『ALL STANDARD IS YOU』における、この“手加減の無い重さ”がかなり好きなんですがね 笑。
『GLAY』のラブソングの中でも相当上位に入るくらい好きです。
なお、上記レビューは全てアルバム『ONE LOVE』収録の『ALL STANDARD IS YOU』に関する内容です。
続くアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』にも『ALL STANDARD IS YOU 〜END ROLL〜』として最終トラックに収録されていますが、こちらは曲中にラップが挿入されていたりと、アレンジがガラッと変わってヒップホップ調になっています。
もちろん好みの問題はありますが、私はアルバム『ONE LOVE』版の方が圧倒的に好きです。
優しさ度(?)は『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』版に軍配が上がりますが、やっぱり『ONE LOVE』版で感じられる“手加減の無い重さ”が最高ですね 笑。
Amazonで試聴できます。
『ALL STANDARD IS YOU』収録アルバムレビューリンク
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