宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
アンダーグラウンド界のカリスマボーカル”キリト”と、奇天烈なサウンドで世界観にいろどりを添えるバンド隊の組み合わせはまさに唯一無二の存在。90年代後半から00年代前半にかけて数々の奇作を世に送り出し、潜在的中二病患者の爆発的発病に多大な貢献をしました。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『カナタヘ…』のレビューです。
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『カナタヘ…』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | カナタヘ… |
演奏時間 | 3:53 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | Pierrot & 成田忍 |
両A面でリリースされたメジャー3rdシングルの片方。もう片方は『ハルカ…』。
『カナタヘ…』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
FINALE | 4 |
DICTATORS CIRCUS -A deformed BUD- (Disc 1) | 3 |
HELLO COMPLETE SINGLES AND PV COLLECTION (Disc 1) | 5 |
メジャー1stアルバム『FINALE』の4曲目に”Album mix”にて収録。
※『カナタヘ…』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
『ハルカ…』とともに『PIERROT』初の両A面シングルとしてリリースされた作品、『カナタヘ…』。
両A面とは言え、結局のところ2曲の内のどちらかにスポットライトが当たってしまい、もう片方がカップリング扱いになることが多いものですが、このシングルは『ハルカ…』も『カナタヘ…』も平等に扱っていることが伺えます。
例えば、今は懐かしいこの8cmCD、ジャケットが『ハルカ…』と記載されている面と『カナタヘ…』と記載されている面の両方が用意されています。
細かいこだわりですが、こういった気配りがあることで、”『ハルカ…』も『カナタヘ…』も、どちらも平等な、正真正銘の両A面シングルだ!”と思えたものです(少なくとも私はそう思いました)。
…しかし、時代は流れ、残念な事件が起こりました。
『DICTATORS CIRCUS -A variant BUD-』のリリースです。
メジャーデビュー以降の『PIERROT』のシングルA面曲を収録したシングルコレクション的アルバムなのですが、ここに『ハルカ…』の姿はあれど、本作『カナタヘ…』の姿がないのです…!
そしてその後に発売されたカップリング曲集である『DICTATORS CIRCUS -A deformed BUD-』に本作『カナタヘ…』は収録されることに…。
どこに何を収録しようと、製作側の自由と言えばその通りです。
ただ、なんというか、シングルリリース時はあんなに両A面らしさにこだわっていて、その几帳面ぶりが『PIERROT』らしくて好きだったのに、この2枚のベストアルバムでの扱いを見ると、”やっぱり結局この子はB面扱いなのね”と思わざるをえない結末を迎えたのが残念なのです。
こだわるなら、最後までこだわり抜いてほしかったな、と。
“再会への願い”を歌った本作『カナタヘ…』ですが、こうして『ハルカ…』と引き離されてしまい、もう一度両A面として『ハルカ…』と再会することを願うこの作品自体のことを歌っているように聴こえてきてしまいます…。
『カナタヘ…』収録アルバムレビューリンク
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