宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
アンダーグラウンド界のカリスマボーカル”キリト”と、奇天烈なサウンドで世界観にいろどりを添えるバンド隊の組み合わせはまさに唯一無二の存在。90年代後半から00年代前半にかけて数々の奇作を世に送り出し、潜在的中二病患者の爆発的発病に多大な貢献をしました。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『CHILD』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT
『CHILD』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | CHILD |
演奏時間 | 6:02 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | Pierrot & 成田忍 |
本作『CHILD』がアルバム『FINALE』の中で最も演奏時間の長い楽曲です。
『CHILD』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
FINALE | 12 |
メジャー1stアルバム『FINALE』の12曲目に収録。
※『CHILD』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
アダムとイヴが支配者によって海に沈められたことから始まったアルバム『FINALE』の物語。そのお話の最後を締めくくるのが同アルバム12曲目収録の本作『CHILD』です。
1曲目の『FINALE』から12曲目の本作『CHILD』までの間、どのような紆余曲折を経てここに辿り着いたのか、正直なところ、私にはよくわかりません。
わかるのは、本作『CHILD』のサビで登場する“海へ戻りたくない”というフレーズが、”海に沈められて”始まったこの物語の結末を示す言葉なんだろうな…ということ。読解力の足りない私でも、”海で始まって海で終わる”という枠組みに、なんとなくの物語的な連続性を感じます。
本作『CHILD』、楽曲の方は物語のエンディングらしく、スローテンポで壮大な曲調になっています。
“壮大”という言葉を使いましたが、重厚なオーケストラをバックに据えた壮大さではなく、あくまでバンドサウンドを利用した壮大さに仕上がっています。空間的な広がりを感じるパーカッションやギターの音色が演出する壮大さ、という感じですね。
『CHILD』を始めとして、こういった音作りの仕方がアルバム『FINALE』独特の雰囲気を作り出しているような気がします。インディーズアルバムの楽曲ではこういった作風のものは見られませんでしたし、メジャーの舞台で後々登場するアルバムにも本作『CHILD』のような雰囲気の楽曲は出てきません。
そういう意味では、アルバム『FINALE』を好きになれるかどうかは、こういった『FINALE』独特の”壮大さを演出する仕掛け”を好きになれるかどうかが一つのポイントなのかもしれませんね。
ただ、この”壮大さ”というヤツは、何度もリピートして聴くには少々重たいところがあるのも事実です。アルバム『FINALE』自体は好きだけれども、普段聴くヘビロテリストにはなかなか入れづらいな…というのが私の感想です。
『CHILD』収録アルバムレビューリンク
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