宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
このバンドが活躍していた90年代後半から00年代前半頃はまだ”中二病”という言葉が一般的ではありませんでしたが、今の基準で言えば”中二病”の定義にぴったり当てはまるバンドではないでしょうか。
そもそもヴィジュアル系というジャンルそのものが中二病患者にぶっ刺さりがちなのかもしれませんが、この『PIERROT』というバンドは中二病における幅広い症状(属性)に対応できるという点で特に多大な信者を生み出したものと思われます。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT
目次
『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY) |
演奏時間 | 5:30 |
作詞 | キリト |
作曲 | アイジ |
編曲 | PIERROT & 西脇辰弥 |
『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
PRIVATE ENEMY | 15 |
メジャー2ndアルバム『PRIVATE ENEMY』の15曲目に収録。
本作『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』がアルバム『PRIVATE ENEMY』の最終トラックです。
※『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
アルバム『PRIVATE ENEMY』のラストを飾るのは“生”に対する絶望感を丁寧に描いた名作『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』。
『PIERROT』特有の突き抜けた中二病楽曲も素敵なのですが、年を取って中二病が完治してしまうと、やはり残念なことに当時ほどあの世界観に浸りきれないのも事実だったりします。
かつてはあんなに熱狂していたのに、今ではちょっと大げさに感じてしまうと言いますか、リアリティの無いフィクションのように感じてしまうんですよね。
しかし、本作『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』は違います!
アラサーになった今でも、この楽曲が描く世界観はスッと心に入ってくるのです。“生き延びてしまった…”という、大人になっても(大人になったからこそ?)感じるあのリアルな絶望感を、わずか5分半という時間の中で見事に描ききっています。パッと消えることができるなら、それもいいかもしれない…なんていう消極的××願望保持者にはブッ刺さること間違いなしです。
一方、こんな夢も希望も無い楽曲を聴いて、余計に気分が沈んでしまうのでは?と思われるかもしれません。もっとハッピーな曲を聴いて、気を紛らす方がいいのでは?と。
しかし、私にとって本作『THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)』は癒しに近い存在という感じなのです。どこかきっと、”こんな絶望的な世界観に共感して入り浸れる自分…”というものに酔いしれている部分があるのでしょう。
その陶酔感がデトックス的な癒しの効果を発揮しているものと思います。
本当、この曲を作ってくれてありがとうございますm(__)m
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