J-POPのお手本のような楽曲を連発したユニット、『Every Little Thing』。
特に90年代後半の五十嵐充プロデュース時代の楽曲は、ビーイング系のバンドっぽいサウンドと小室ファミリーのダンスっぽいサウンドを見事に融合させた、ザ・J-POPでした。
初期ELTサウンドを支えた五十嵐充は2000年にELTを脱退。その後、『day after tomorrow』のプロデューサーとして再び活躍を始めます。
今回は、『Every Little Thing』の楽曲、『鮮やかなもの』のレビューです。
※『Every Little Thing』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/Every Little Thing
『鮮やかなもの』の全体概要
基本情報
アーティスト | Every Little Thing |
曲名 | 鮮やかなもの |
演奏時間 | 4:14 |
作詞 | 持田香織 |
作曲 | 多胡邦夫 |
編曲 | 伊藤一朗 & 桑島幻矢 |
『鮮やかなもの』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
4 FORCE | 5 |
Every Ballad Songs | 4 |
4thアルバム『4 FORCE』の5曲目に収録。
※『鮮やかなもの』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
決して派手さはない、落ち着いた雰囲気ながらもELT屈指の名曲『鮮やかなもの』。
「うららかな春の日」に過去の恋愛をふと思い出す、そんな1曲です。
恋愛している最中は、とても大きな感情の揺れがありますよね。頭の中を占領するほどの大きな感情。
ただ、何年も経って振り返ってみると、けっこう穏やかな気持ちで当時のことを思い出せるものです。あのときの感情を忘れたわけではないにもかかわらず、今となっては表情一つ変えずに当時のことを頭の中で再生できる。そんな冷静な気持ちというのが案外リアルなところではないでしょうか。
本作『鮮やかなもの』では、まさにそんな“冷静な気持ち”を楽曲の雰囲気から感じ取ることができます。
歌詞を見ると、けっこうひどい思い出を歌っていることがわかるのですが、楽曲の雰囲気に深刻さや憂鬱さは全くありません。ただただ終始穏やかで落ち着いた雰囲気の作りになっています。
大きな感情の動きを伴った過去の出来事と、それを冷静に見ている今の自分。
この事実を本作『鮮やかなもの』では”穏やかで落ち着いた雰囲気”で表現していることにリアル感があるのでしょう。
他では味わえない独特な表現方法ですが、それこそが本作『鮮やかなもの』の名曲たるゆえんだと思います。
Amazonで試聴できます。
『鮮やかなもの』収録アルバムレビューリンク
※『Every Little Thing』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/Every Little Thing