個別楽曲レビュー

【個別楽曲レビュー】GLAY/Fighting Spirit

投稿日:2019年4月2日 更新日:

90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。

ヒットソングだけを取り出してみれば、確かに耳馴染みの良い王道J-POPな楽曲で溢れていますが、ひとたび『GLAY』の世界へ足を踏み入れると、そこには成功者ゆえの苦悩に満ちた孤独の世界を垣間見ることができます。

そこは我々凡人にとっては到底辿り着ける境地ではありませんが、その途方に暮れるほどの景色を、TAKUROの紡ぐ言葉とメロディーによって私たちもほんの少しだけ追体験できるような気がします。

今回は、『GLAY』の楽曲、『Fighting Spirit』のレビューです。

※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY

musician

『Fighting Spirit』の全体概要

基本情報

アーティストGLAY
曲名Fighting Spirit
演奏時間5:07
作詞TAKURO
作曲TAKURO
編曲GLAY & 佐久間正英

『Fighting Spirit』収録アルバム

アルバム名トラック#
ONE LOVE5

オリジナルアルバム『ONE LOVE』の5曲目に収録。

※『Fighting Spirit』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。

レビュー

非シングル曲ながらMVが用意され、アルバム『ONE LOVE』の中心的存在を担う楽曲が本作『Fighting Spirit』。

そして、この『Fighting Spirit』こそ、商業的成功を収めた『GLAY』だからこそ描ける、成功者ゆえの苦悩が歌われた名作です。

本作『Fighting Spirit』には、恋人よりも夢を選び、それが正解なのか迷いながら生きる姿、もう少し言えば、それが正解であってくれと願いながら生きる姿を感じ取れます。

自ら選んだ夢の果て、そこであんなにも商業的成功を収めたにもかかわらず、それでも尚、これが正解であったのか迷うというのは…いったいどんな景色なんでしょうね。

少なくとも、『Fighting Spirit(闘志)』を持って歩き続けなければいけない道が見えていたのでしょう。

そして、私が本作『Fighting Spirit』を名作だと思う大きな理由は最後のフレーズにあります。

なんと、「生きる事は辛いな」と言って締めているのです…!

これが迷い抜いた結論なのかと思うと、どうしようもないほどに希望の無いフレーズ…!

…ただ、これが当時の本心だったのだろうと思います。

歌にするにはあまりに酷な言葉ですが、成功者ゆえの苦悩という少々共感されにくい心情を描くには、この言葉を選ぶ他なかったのだろうと思うのです。

曖昧に形容した言葉で済ますのではなく、堂々と「生きる事は辛いな」と言い切ってしまうこの『Fighting Spirit』という作品に、私は大きく心を打たれました。

Amazonで試聴できます。

『Fighting Spirit』収録アルバムレビューリンク

※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY

-個別楽曲レビュー
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

【個別楽曲レビュー】PIERROT/「天と地」と「0と1」と

宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。 2006年突如解散してしまいましたが、最近になってライブを開催してみたりファンクラブを再始動させたりと …

【個別楽曲レビュー】GARNET CROW/wonder land

2013年、惜しまれながらも解散した『GARNET CROW』。 女性のボーカルとキーボード、男性のギターとキーボードという4人構成で活動していました。 丁寧に作りこまれたポップソングが『GARNET …

【個別楽曲レビュー】L’Arc〜en〜Ciel/bravery

日本を代表する説明不要のロックバンド、『L’Arc〜en〜Ciel』! かっこいい楽曲に加え、時々垣間見られるちょっとした遊び心が長い人気の秘訣ではないでしょうか。もちろん、ボーカルhyd …

【個別楽曲レビュー】THE YELLOW MONKEY/Breaking The Hide

2016年、申年に復活を遂げた『THE YELLOW MONKEY』!! ギラギラとした妖しい雰囲気はそのままに、復活後の彼らの楽曲には溢れんばかりの優しさを感じます。 離れ離れになっていた十数年とい …

【個別楽曲レビュー】相対性理論/シンデレラ

2000年代後半、一部の世間をざわつかせた(?)不思議系おしゃれバンド『相対性理論』! 実験的な言葉選びとアレンジが非常に個性的です。 最初のミニアルバム『シフォン主義』の発表から10年以上が経過した …


執筆者:キャスター
中高生の頃、中古のCD屋巡りばっかりやってました。そんなアラサー会社員キャスターによる音楽レビューブログ。 昔趣味で曲作りをやっていたので、音楽制作者に敬意を払って1曲1曲丁寧に記事を書いていきます。