90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。
ヒットソングだけを取り出してみれば、確かに耳馴染みの良い王道J-POPな楽曲で溢れていますが、ひとたび『GLAY』の世界へ足を踏み入れると、そこには成功者ゆえの苦悩に満ちた孤独の世界を垣間見ることができます。
そこは我々凡人にとっては到底辿り着ける境地ではありませんが、その途方に暮れるほどの景色を、TAKUROの紡ぐ言葉とメロディーによって私たちもほんの少しだけ追体験できるような気がします。
今回は、『GLAY』の楽曲、『ひとひらの自由』のレビューです。
※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY
『ひとひらの自由』の全体概要
基本情報
アーティスト | GLAY |
曲名 | ひとひらの自由 |
演奏時間 | 6:48 |
作詞 | TAKURO |
作曲 | TAKURO |
編曲 | GLAY & 佐久間正英 |
初回限定生産の24thシングル。
『ひとひらの自由』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
ONE LOVE | 6 |
rare collectives vol.1 (Disc-2) | 7 |
THE GREAT VACATION VOL.1 〜SUPER BEST OF GLAY〜 (Disc 1) | 6 |
オリジナルアルバム『ONE LOVE』の6曲目に”Johnny the peace mix”で収録。
また、ベストアルバム『rare collectives vol.1』にはライブバージョンでの収録。
※『Fighting Spirit』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
今までの『GLAY』にはなかった、レゲエ調の作品、『ひとひらの自由』。
オープニングとエンディングでしつこいほど繰り返される「Don’t worry Don’t worry…」が印象的です。7分に迫る長尺な演奏時間も相まって、”ひたすらドンウォーリーを繰り返してる退屈な曲”と思っている人も多いのではないでしょうか。
事実、この曲を聴き始めた中学生の頃の私はそう思っていました。前作の『STAY TUNED』や前々作の『GLOBAL COMMUNICATION』はノリノリでかっこいい曲だったのに、この『ひとひらの自由』はスローテンポで、ドンウォーリーがしつこいだけの、なんかイマイチな曲だなって。
今思えば、この感想は若さ丸出しですよね。本作『ひとひらの自由』の良さを何一つ理解していなかったなと思います。
本作『ひとひらの自由』、よく聴けば、すごくいい歌です。
特に、「小さなブランコに…」で始まる2番の歌詞が最高。壮大なテーマを歌っていた1番とは対照的に、美しくも切ない身近な風景描写でグッと距離が縮まります。この引き寄せられ方にすっかり心を奪われてしまいました。
それから、退屈だと思っていたドンウォーリーパートも、歌とベースの掛け合いのおもしろさに気づいてからは全く退屈でなくなりましたね(シングル版よりアルバム『ONE LOVE』収録版の方がベースの音量が大きく、この歌とベースの掛け合いも聴きやすくてオススメ)。
分かりやすい刺激を求めていた中学生の私には、こういったベースの動きに気を配れるほどの余裕がなかったのでしょう。それ故にこのドンウォーリーパートを、ひいては本作『ひとひらの自由』という楽曲自体を退屈だと決めつけていたようです。
…反省!
『ひとひらの自由』収録アルバムレビューリンク
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