伝説のミュージシャン…その言葉が最も似合う日本人は、やはり『hide』ではないでしょうか。
カリスマバンド『X JAPAN』のギタリストというポジション、トレードマークの赤髪、ズバ抜けたセンス、そして若くして迎えてしまった死…。
『hide』を聴いたことがある人なら、おそらく誰しも思ったんじゃないでしょうか、”今も生きてたら、どんなことして楽しませてくれてたんだろう”って。
今回は、『BREEDING』のレビューです。
※『hide』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/hide
『BREEDING』の全体概要
基本情報
アーティスト | hide |
曲名 | BREEDING |
演奏時間 | 4:59 |
作詞 | hide |
作曲 | hide |
編曲 | hide |
『BREEDING』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
Ja,Zoo | 8 |
hide BEST 〜PSYCHOMMUNITY〜 | 17 |
KING OF PSYBORG ROCK STAR | 10 |
オリジナルアルバム『Ja,Zoo』に収録。
非シングル曲ながら、幾つかのベストアルバムにも収録されています。
※『BREEDING』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
自分の中に”天使”と”悪魔”がいて、天使は性善説的な立場でささやき、悪魔は性悪説的な立場でささやく。その天使と悪魔の二つの声の間で揺れる自分…。
漫画なんかにこんな表現ありますよね。本作『BREEDING』は、ざっくり言ってしまうとそんな“自分の中にいる存在たち”を歌った1曲です。
『BREEDING』の主人公、頭の中に「2匹のムシケラ」が存在しているようです。この「ムシケラ」はそれぞれ真逆な主張をする関係のようで、ちょうど上記の”天使と悪魔”を想像してもらえると歌の内容がわかりやすいのではないでしょうか。
この曲のおもしろいところは、主人公、「ムシケラ」、そして曲名の『BREEDING』という言葉の関係にあると思います。
『BREEDING』という単語、”飼育”という意味があります。日本語でも”ペットブリーダー”という言葉が浸透しているので、”breed”の意味はなんとなく想像がつくのではないでしょうか。
問題は、”BREEDING(飼育)”の対象。普通に考えれば、”主人公が「ムシケラ」を飼育”という構図を描くかと思います。しかし『BREEDING』を聴くと、どうやらそうでもないようです。
つまり、“「ムシケラ」に飼育されているのは自分の方では?”と、疑問を抱くような曲の内容になっているんですね。
単に”自分の中にいる存在に悩む”というだけで終わらせず、その上下関係に切り口を持ってきた視点がおもしろいです。
この後味、ジャンルは違いますが”芥川龍之介”の作品に近い気がします。
『BREEDING』収録アルバムレビューリンク
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