宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
このバンドが活躍していた90年代後半から00年代前半頃はまだ”中二病”という言葉が一般的ではありませんでしたが、今の基準で言えば”中二病”の定義にぴったり当てはまるバンドではないでしょうか。
そもそもヴィジュアル系というジャンルそのものが中二病患者にぶっ刺さりがちなのかもしれませんが、この『PIERROT』というバンドは中二病における幅広い症状(属性)に対応できるという点で特に多大な信者を生み出したものと思われます。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『FREAKS』のレビューです。
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『FREAKS』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | FREAKS |
演奏時間 | 3:11 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | PIERROT & 西脇辰弥 |
『FREAKS』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
PRIVATE ENEMY | 12 |
メジャー2ndアルバム『PRIVATE ENEMY』の12曲目に収録。
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レビュー
アルバム『PRIVATE ENEMY』では前曲の『Analyze Chat「FREAKS」』という壮大な前フリを伴って始まる楽曲、『FREAKS』。
オブラートに包まない直接的な表現で”少年犯罪”を歌った楽曲です。内容としては、”少年犯罪”の加害者側の心情を描いたものと思われます。攻撃的なサウンドに攻撃的な言葉が乗っかった狂気の問題作ですね。
一方、加害者側の心情とは言え、衝動的なエネルギーだけでなく、どこか冷静に第三者的な視点で自らを見つめているような表現もうかがえます。特に、サビではまるで他人事のように自らに対して終止符が打たれるのを望んでいるフレーズが見受けられるんですよね。
この冷静な第三者的視点の存在については、”犯罪的欲求を掻き立てる悪魔(のような何か)に身体を乗っ取られてしまい、この悪魔の悪行を止めるため、本来の冷静な自分が肉体的終止符を望んでいる”…というふうに解釈すると、多少の納得感があるかもしれません。
本作『FREAKS』では犯罪的欲求を掻き立てる悪魔を“敵(ENEMY)”として位置づけ、自らの中における葛藤を描いていると考えると、この楽曲が収録されている『PRIVATE ENEMY』というアルバム名にリンクしているのが見えてくるのではないでしょうか。
『FREAKS』収録アルバムレビューリンク
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