宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
アンダーグラウンド界のカリスマボーカル”キリト”と、奇天烈なサウンドで世界観にいろどりを添えるバンド隊の組み合わせはまさに唯一無二の存在。90年代後半から00年代前半にかけて数々の奇作を世に送り出し、潜在的中二病患者の爆発的発病に多大な貢献をしました。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『クリア・スカイ』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT
『クリア・スカイ』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | クリア・スカイ |
演奏時間 | 4:24 |
作詞 | キリト |
作曲 | キリト |
編曲 | Pierrot & 成田忍 |
メジャー1stシングル。
『クリア・スカイ』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
FINALE | 11 |
DICTATORS CIRCUS -A variant BUD- | 1 |
HELLO COMPLETE SINGLES AND PV COLLECTION (Disc 1) | 2 |
メジャー1stアルバム『FINALE』の11曲目に”Album Version”にて収録。
こちらのAlbum Versionはギターソロ後に新たな歌パートが追加されており、演奏時間も全体で1分程拡張されています。
※『クリア・スカイ』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
『PIERROT』の記念すべきメジャー1stシングルが本作『クリア・スカイ』。世界の終わりを背景にした、SFファンタジー的ラブソングとなっています。
SFファンタジーと言えば、やはり”映画やマンガで描かれることの多いジャンル”という印象があると思いますが、『PIERROT』は本作『クリア・スカイ』を通じ、”ポップス音楽”という舞台でこのジャンルの表現に挑戦しているのです。そういう意味では、本作『クリア・スカイ』、かなり意欲的で珍しい種類の作品と言っていいでしょう。
メジャー1stシングルだけあって、『PIERROT』側もかなり気合を入れて作り上げたものと思われます。
続く2ndシングルが『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』なわけですが、本作『クリア・スカイ』と曲名に統一感を持たせてあり、それぞれの楽曲が表裏一体的な立ち位置になっているのがおもしろいですね。
曲調も、本作『クリア・スカイ』はキャッチーでポップな感じですが、『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』は中二病的アンダーグラウンド感がムンムンしています 笑。
『クリア・スカイ』も『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』も、どちらも終末感漂う作品という部分は共通していますが、“世界の終わりに対する姿勢”はそれぞれ異なるように思います。
まず、本作『クリア・スカイ』。こちらは世界の終わりに対して受動的な印象です。第三者の手によって引き起こされた世界崩壊の様子を眺めながら、その中で自分のできることを探している…そんな感じ。世界の終わりに対してはあくまで傍観者的な立ち位置。被害者的な立ち位置と言い換えてもいいかもしれません。
一方で、『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』は世界の終わりに対して能動的な印象があります。自らの手で、積極的に世界を崩壊へ導いていく…そんな感じ。『クリア・スカイ』を”被害者的”と表現するなら、『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』は”加害者的”と表現するのがしっくりきますね。
そして、この能動的破壊衝動を表現した雰囲気が『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』の中二病臭さの原因なのでしょう 笑。
ということで、本作『クリア・スカイ』、この楽曲単体でも十分楽しめる作品ですが、2ndシングルの『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』と合わせて聴くと、より一層深く味わえる楽曲になっています。
幸いなことに、本作『クリア・スカイ』が収録されているどのアルバムにも『MAD SKY -鋼鉄の救世主-』が同じく収録されていますので、この辺は気にせずに聴きたいアルバムを選んでもらえたらと思います。
『クリア・スカイ』収録アルバムレビューリンク
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