女性ボーカルに男性楽器隊という編成で平成の日本音楽史に数々のヒットソングを送り込んだバンド『JUDY AND MARY』。
1993年のメジャーデビュー後、6枚のオリジナルアルバムを残して2001年に解散しました。『JUDY AND MARY』と同時期に解散した多くのバンドが再結成を遂げ続ける中、このバンドは復活の気配すら感じられないまま今に至っています。
今回は、『JUDY AND MARY』の楽曲、『くじら12号』のレビューです。
※『JUDY AND MARY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/JUDY AND MARY
『くじら12号』の全体概要
基本情報
アーティスト | JUDY AND MARY |
曲名 | くじら12号 |
演奏時間 | 4:38 |
作詞 | Tack and Yukky |
作曲 | TAKUYA |
編曲 | JUDY AND MARY |
『JUDY AND MARY』の11thシングル。
『くじら12号』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
THE POWER SOURCE | 7 |
FRESH | 13 |
The Great Escape -COMPLETE BEST- (DISC 01) | 5 |
COMPLETE BEST ALBUM「FRESH」 (DISC 02) | 2 |
メジャー4thアルバム『THE POWER SOURCE』の7曲目に収録。
※『くじら12号』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
リアルとファンタジーの混在した世界観が魅力的な1曲、『くじら12号』。
曲の冒頭、1番Aメロはリアル寄りな言葉が出てきます。「クラッカー」、「チーズ」、「ワイン」と、おしゃれなピクニックでも始まりそうな品物が並びますね。
ちなみに、歌が始まって一番最初に登場する「クラッカー」というワード、この言葉を歌うYUKIの発音が凄く好きです。「クラッカー」という言葉の持つリズミカルな語感を上手に活かす歌い方をしており、聴いていて気持ちいいです。
一方、1番Aメロの2回目はファンタジー寄りな言葉が出てきますね。「悪魔の城」、「星のアイテム」なんてワードからはRPGを連想します。
この後に続くストーリーの展開も”未知なる世界への冒険”…って感じでRPGっぽいです。
そんなリアルとファンタジーの混在した世界を作り上げながら、一見相容れないリアルとファンタジーを統一するワードがサビで出てきます。
それが曲名にもある「くじら」です。
もちろん、「くじら」は実在の生物ですので、リアルかファンタジーかと言われればリアル寄りな言葉でしょう。しかし、「くじら」と聞いて思い浮かぶのは、果たして本ページ冒頭の写真のような実在のクジラでしょうか?
こんな感じの、デフォルメしたファンタジーのくじらの方が思い浮かぶのではありません?
そう、本作『くじら12号』のキーワードである「くじら」という言葉自体がリアルとファンタジーの両方を内包した言葉だったのです!
まさに、リアルとファンタジーをつなぐ架け橋!
…。
…まぁ、これは私の勝手な解釈ではあります。『JUDY AND MARY』サイドは「くじら」という言葉に対して上述のような意味を込めてはいないかもしれません。
しかし、リアルとファンタジーの混在した世界観に「くじら」という言葉が絶妙にフィットしていると思うのです。本作『くじら12号』をすんなり聴き通せるのも、「くじら」というワードの持つ包容力のおかげなんじゃないかと思っています。
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