今や芸能人格付けチェックの常連というイメージが強い『GACKT』。その『GACKT』が在籍していたバンドが『MALICE MIZER』です。
音楽業界の中でも異端な扱いを受けがちなV系バンドですが、そんなV系バンドの中でも”魅せ方”という点で特に異端な存在を放っていたのが『MALICE MIZER』。度重なるメンバー入れ替えの末、2001年に活動を休止しました。
今回は『S-CONSCIOUS』の個別楽曲レビューです。
※『MALICE MIZER』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/MALICE MIZER
『S-CONSCIOUS』の全体概要
基本情報
アーティスト | MALICE MIZER |
曲名 | S-CONSCIOUS |
演奏時間 | 3:19 |
作詞 | Gackt.C |
作曲 | Mana |
編曲 | MALICE MIZER |
『S-CONSCIOUS』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
merveilles | 9 |
オリジナルアルバム『merveilles』の9曲目に収録。
※『S-CONSCIOUS』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
クラシック要素をふんだんに取り入れた、いわゆる“『MALICE MIZER』らしい”楽曲からかけ離れた楽曲が本作『S-CONSCIOUS』。
ほぼ打ち込みだと思われるオケとラップのようなボーカル、そしてAメロもサビも無いような平坦な構成は、アルバム『merveilles』の中でも異端な存在です。
人では演奏できないようなリズムを打ち込みによって作り出すという点で言えば、『GACKT』が脱退した後の『MALICE MIZER』の楽曲、『Beast of Blood』にリンクしているのかもしれません。
『Beast of Blood』は本作『S-CONSCIOUS』と同じように打ち込み系のリズムを取り入れつつも、『MALICE MIZER』らしいクラシック要素を盛り込んだ傑作となっています。
『GACKT』が脱退して勢いが衰えてしまったように見えた『MALICE MIZER』ですが、実は進化し続けていたことがわかる作品だと思います。
そんなわけで、本作『S-CONSCIOUS』は当時の『MALICE MIZER』にとってある種実験的な楽曲だったものと思われます。
リーダーのMana様が作曲を担当していますし、今までのクラシック的な要素を排除し、電子的な音でどこまで『MALICE MIZER』の世界観を作り出せるのかを試していたのが本作『S-CONSCIOUS』だったのではないかなと思うのです。
この実験はアルバム『merveilles』時点では未完成だったものの、後の『Beast of Blood』で花開いたと考えるならば、なかなかおもしろいですね。
『S-CONSCIOUS』収録アルバムレビューリンク
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