“楽器を持たないパンクバンド”がキャッチコピーのアイドルグループ『BiSH』。そのメンバーの一人であるアユニ・Dのソロプロジェクトが『PEDRO』です。
アイドルのソロとしては珍しくバンド形式になっており、アユニ・D本人がベースの演奏をしているのも特徴ですね(とうとう楽器を持ってしまった!)。
今回は、『PEDRO』のミニアルバム『zoozoosea』の6曲目、『ハッピーに生きてくれ』の個別楽曲レビューです。
※『PEDRO』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PEDRO
『ハッピーに生きてくれ』の全体概要
基本情報
アーティスト | PEDRO |
曲名 | ハッピーに生きてくれ |
演奏時間 | 3:21 |
作詞 | アユニ・D |
作曲 | 松隈ケンタ |
編曲 | SCRAMBLES |
『ハッピーに生きてくれ』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
zoozoosea | 6 |
ミニアルバム『zoozoosea』の6曲目に収録。
※『ハッピーに生きてくれ』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
「お疲れ様です」と「ご愁傷様です」を繰り返すシンプルなサビが印象的な1曲『ハッピーに生きてくれ』。
「お疲れ様です」も「ご愁傷様です」もいたわりの言葉で、本来なら相手を気遣うときに用いるものですが、何度も繰り返すと皮肉っぽく聴こえてくるものです。
そして、その”皮肉っぽく聴こえる”というのはおそらく意図的な仕掛けでしょう。歌詞を見てみればわかりますが、楽曲全体を通して非常に攻撃的な言葉で埋め尽くされています。
本作『ハッピーに生きてくれ』の攻撃対象は“右に倣えな大衆”ですかね。
ロック楽曲のテーマとしては使い古された感があるものですが、上述の皮肉のこもった「お疲れ様です」と「ご愁傷様です」の繰り返し等に表現面で新鮮さを感じます。ですので、テーマとしてはありふれているものの、”これ、100回くらい聴いたやつだ”とはならずに個人的には楽しむことができました。
あと、気になるのは『ハッピーに生きてくれ』という曲名です。
「生きてくれ」という言葉は、楽曲中で攻撃対象になっている”右に倣えな大衆”に向けられていると考えるのが自然でしょう。
では、なぜ、攻撃対象に対して『ハッピーに生きてくれ』なのか。
解釈の一つとしては、これも”皮肉をこめた表現”だというものが考えられます。
“全然ハッピーに見えないけど、そっちがハッピーだと思って生きているなら、どうぞお好きに”的な感じ。ネットスラングで言うところの、“お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな”というノリですね。
右に倣えな大衆を完全に見放しているという解釈です。
もう一つの解釈としては、”右に倣えな生き方を改めてみては?”という意味での『ハッピーに生きてくれ』です。
“右に倣えなままじゃハッピーになれないよ、生き方変えてハッピーになろうよ”という感じです。攻撃に終始して終わらせず、右に倣えな大衆に対して手を差し伸べる感があるのがこちらの解釈です。
どちらの解釈でも意味は通じるように思いますし、もしかしたら別の解釈もあるかもしれません。
私が聴いた感じでは後者の”右に倣えな生き方を改めてみては?”という意味での『ハッピーに生きてくれ』の方がしっくりくるかなと、今のところ思っています。
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『ハッピーに生きてくれ』収録アルバムレビューリンク
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