90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。
デビューから20年以上経つベテランバンドですが、長寿バンドに付きものの”メンバー間の確執”とは無縁なところも、もはや『GLAY』の個性と言えそうです。”平和なロックバンド”というある意味矛盾したフレーズですら納得して飲み込んでしまえる、そんな懐の深さを『GLAY』には感じますよね。
今回は、『GLAY』の個別楽曲、『ここではない、どこかへ』のレビューです。
※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY
『ここではない、どこかへ』の全体概要
基本情報
アーティスト | GLAY |
曲名 | ここではない、どこかへ |
演奏時間 | 5:49 |
作詞 | TAKURO |
作曲 | TAKURO |
編曲 | GLAY& 佐久間正英 |
17thシングル。
『ここではない、どこかへ』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
HEAVY GAUGE | 4 |
rare collectives vol.1 (Disc-2) | 6 |
THE GREAT VACATION VOL.2 〜SUPER BEST OF GLAY〜 (Disc 2) | 8 |
オリジナルアルバム『HEAVY GAUGE』の4曲目にアルバムバージョンにて収録。また、ベストアルバム『rare collectives vol.1』にはライブバージョンでの収録。
そのため、本作『ここではない、どこかへ』のシングルバージョンが初めてアルバムに収録されるのは『THE GREAT VACATION VOL.2 〜SUPER BEST OF GLAY〜』まで待つことになり、実にシングルのリリース(1999年)から約10年後(2009年)となりました。
※『ここではない、どこかへ』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
ちょっとかわいそうな扱いを受けている、個人的にそう感じる楽曲が本作『ここではない、どこかへ』。
『GLAY』の商業的絶頂期にリリースされたシングルで、ミリオンヒットには至りませんでしたが、それでもしっかりと90万枚を超える売り上げを誇っています。
『ここではない、どこかへ』のリリースから約1年後、ファン投票で収録曲を決めたベストアルバム『DRIVE-GLAY complete BEST』がリリースされました。
ディスク2枚組で全24曲が収録されていますので、ファン投票で19位を獲得した本作『ここではない、どこかへ』は難なく収録されるかと思いきや、なんと『DRIVE-GLAY complete BEST』には収録されず。
売上的にもファンの熱意的にも、ベストアルバム『DRIVE-GLAY complete BEST』に収録されて申し分無いように思うのですが、おそらく『GLAY』側の意向で本作『ここではない、どこかへ』の収録が見送られたのでしょう。
そういう意味で、本作『ここではない、どこかへ』に対して“かわいそうな扱いを受けているな”と感じるのです。
そんな『ここではない、どこかへ』、私は楽曲自体もけっこう好きなんですよね。
『GLAY』のアップテンポナンバーにしては珍しくところどころでピアノが使用されており、これが楽曲に新鮮な色どりを与えているように思います。
バンド外の音を使うのなら、電子音よりピアノの方が『GLAY』のロックには合っているような気もするのですが、実はピアノの導入ってあまり無いパターンなんです(もちろん、バラード楽曲にはふんだんにピアノが取り入れられていますが)。
新鮮と言えば、最後の転調もそうですね。
『GLAY』自体がけっこう転調を使うバンドですが、ブロックごとの転調(例えば、サビだけ転調する等)を多用するイメージがあります。一方で本作『ここではない、どこかへ』は、J-POPでおなじみの、“最後のサビだけ転調”という手法を取り入れています。
使い古されたやり方ではありますが、やっぱりいいですね。最後の盛り上がりが印象的かつ感動的な形で締まります。
最後に、『ここではない、どこかへ』について思うことをもう一つ。
1999年末をもって『GLAY』を解散させるという話がメンバーの中であったそうです。
確か、TAKUROの書いた”胸懐”という本にそんな記述があったと記憶しています。もう10年以上も前に読んだ本なので、少々記憶が曖昧ですが。。。
1999年の解散話は無くなったわけですが、もしこの解散が現実のものとなっていれば、『GLAY』のラストシングルは1999年の一番最後にリリースされた本作『ここではない、どこかへ』だった可能性があるんですよね(厳密には、リカットシングルの『HAPPINESS』がラストシングルになったのでしょうが)。
ベストアルバム『DRIVE-GLAY complete BEST』に本作『ここではない、どこかへ』が収録されなかったのも、この解散トラウマがメンバー内にあるせいなのでしょうか。。。
やっぱり本作『ここではない、どこかへ』、かわいそうな扱いを受けていると思わずにはいられないですね…。
『ここではない、どこかへ』収録アルバムレビューリンク
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