90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。
デビューから20年以上経つベテランバンドですが、長寿バンドに付きものの”メンバー間の確執”とは無縁なところも、もはや『GLAY』の個性と言えそうです。”平和なロックバンド”というある意味矛盾したフレーズですら納得して飲み込んでしまえる、そんな懐の深さを『GLAY』には感じますよね。
今回は、『GLAY』の個別楽曲、『Winter,again』のレビューです。
※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY
『Winter,again』の全体概要
基本情報
アーティスト | GLAY |
曲名 | Winter,again |
演奏時間 | 5:14 |
作詞 | TAKURO |
作曲 | TAKURO |
編曲 | GLAY& 佐久間正英 |
16thシングル。
『GLAY』のシングルの中では最大のヒット作品です(累計売上枚数:約164万枚)。
『Winter,again』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
HEAVY GAUGE | 9 |
DRIVE-GLAY complete BEST (DISC 2) | 9 |
-Ballad Best Singles- WHITE ROAD | 12 |
THE GREAT VACATION VOL.2 〜SUPER BEST OF GLAY〜 (Disc 2) | 6 |
Hope and The Silver Sunrise | 4 |
REVIEW II -BEST OF GLAY- (TERU盤) | 12 |
オリジナルアルバム『HEAVY GAUGE』の9曲目にアルバムバージョンとして収録。
また、ミニアルバム『Hope and The Silver Sunrise』には再録版が収録されています。
この記事を書いていて気づいたのですが、ミニアルバム『Hope and The Silver Sunrise』を除くアルバムは全て15thシングル『BE WITH YOU』→16thシングル『Winter,again』の流れになっています。
※『Winter,again』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
もう10年以上も前のことですが、”胸懐”という本を読んだことがあります。TAKURO自らで書いた自身の人生に関するエッセイです。
この”胸懐”の中で、TAKUROは本作『Winter,again』が誕生した経緯について触れています。
詳細な背景についてはここでは書きませんが、つまるところ、TAKUROが当時付き合っていた彼女に故郷函館の冬の姿を見せたかった、というのが『Winter,again』に込められたTAKUROの想いだそうです。
改めて『Winter,again』の歌詞を見てみると、ストレートにそのままが描かれています。特に1番のサビの歌詞は何の比喩もなく綴られた感情でしょう。
上記のようなTAKUROの個人的な出来事を背景しながらも、『Winter,again』を万人の心を動かすミリオンヒットソングに仕立て上げられるというのは、さすがだなと思う次第です。
もちろん、人の心を動かす作品というのは、作り手側の経験した大きな感情の揺らぎが源なのでしょう。ただ、それをほとんど脚色もしないまま言葉にして、それで楽曲が完成するというのは、なかなか真似のできることではありません。
普通なら、”表現したい対象”から何らかのエッセンスを抽出し、多くの人が共感できるように一般化して作品に落とし込むはずだからです(J-POPの歌詞がどれも似たような言葉で構成されているように感じるのは、万人に理解してもらうための一般化作業を経由しているための弊害だと考えています)。
本作『Winter,again』も商品である以上、部分的には多少の程度の一般化がされているかもしれません。
それでも、リスナーの共感を無視するほどにストレートな表現で『Winter,again』の言葉が綴られているからこそ、逆説的ですが、多くの人の胸を打つ作品として親しまれているのだと思います。
『Winter,again』収録アルバムレビューリンク
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