エアーバンドなる言葉を世に定着させた先駆者『ゴールデンボンバー』。通称”金爆(きんばく)”。
自分たちの好きなことをするため、あえてメジャーデビューを選ばずにインディーズで活動を続ける姿は、まさにロックと言えるのではないでしょうか。純粋にかっこいいと思えます。
今回は、『腐男子』の個別楽曲レビューです。
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『腐男子』の全体概要
基本情報
アーティスト | ゴールデンボンバー |
曲名 | 腐男子 |
演奏時間 | 4:13 |
作詞 | 鬼龍院翔 |
作曲 | 鬼龍院翔 |
編曲 | tatsuo & 鬼龍院翔 |
『腐男子』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
ゴールデン・アワー〜下半期ベスト2010〜 | 5 |
『ゴールデン・アワー〜下半期ベスト2010〜』の5曲目に収録。
※『腐男子』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
いつもの”V系っぽい”ロック調のサウンドではなく、シンセサウンドを全面的に取り入れた一風変わった作品、『腐男子』。
この楽曲で用いられる『腐男子』という言葉ですが、これはいわゆる”腐女子的嗜好を持つ男性”のことではなく、”精神的にダメになってしまった男”という意味で使われているものと思われます。
本作『腐男子』、鬼龍院翔お得意のモテない男のひがみを歌ったものではなく、一人称の世界観を淡々と歌ったものになっています。”君”や”あなた”といった二人称は一切出てきません。あえて言えば、「世界」が本作中の二人称の代わりでしょうか。
そして、サウンドの雰囲気と歌詞の内容が本作『腐男子』独特の虚無感を作り上げており、それが非常に美しいです。
バンドサウンドではなくシンセサウンドが用いられていることで、空間的な広がりと感情の無い機械的な冷たさを感じ取ることができます。これが本作『腐男子』独特の虚無感の正体の一つでしょう。ギターのうるさいバンドサウンドも好きですが、こういったタイプのシンセサウンドもいいですよね。
それから、具体的な言葉と、抽象的な精神世界を対比させた歌詞もすごくいいです。「自販機」、「コンビニ」といったごく身近な物体と、「僕」の心の間にある空白のギャップにこれまた大きな虚無感を感じます。「世界」を構成する要素である「自販機」や「コンビニ」は”物理的”には近くにあるのでしょうが、”精神的”にはとても遠くにある存在のように描かれているのが印象的です。
本作『腐男子』、上述のように『ゴールデンボンバー』としては一風変わった聴き心地の作品ですが、その完成度は非常に高いものに思われます。
個人的にですが、『ゴールデンボンバー』の楽曲の中で1位、2位を争うほどお気に入りの作品です。
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『腐男子』収録アルバムレビューリンク
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