ボーカルとベースの二人組という珍しい組み合わせのバンド、『黒夢』。
ヴィジュアル系にカテゴライズされるイメージがありますが、その音楽性はアルバムをリリースする度にガラッと変わっており、一つのジャンルで括ることはなかなかに難しいバンドです。
今回は、『黒夢』の楽曲、『少年』のレビューです。
※『黒夢』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/黒夢
『少年』の全体概要
基本情報
アーティスト | 黒夢 |
曲名 | 少年 |
演奏時間 | 5:26 |
作詞 | 清春 |
作曲 | 清春 |
編曲 | 黒夢 |
11thシングル。
本作『少年』が『黒夢』のシングルの中で最も売り上げ枚数の多い作品です(約37万枚)。
『少年』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
CORKSCREW | 6 |
EMI 1994〜1998 BEST OR WORST 【HARD DISK】 | 16 |
黒夢シングルズ | 11 |
黒夢コンプリート・シングルズ (A-disc) | 11 |
メジャー6thアルバム『CORKSCREW』の6曲目に”screw mix”にて収録。
※『少年』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
“世間に対する嫌悪感”と“反抗”を歌った作品が本作『少年』。
パンクロックに傾倒した解散直前の『黒夢』ですが、本作『少年』はまさにパンクロック衝動の源流を体現した1曲と言えそうです。
そんなパンク精神がこもった本作『少年』、楽曲の方ももちろんパンクな仕上がりになっています。スピード感、攻撃性、ともに『黒夢』のシングル楽曲の中では随一なのではないでしょうか。
一方、構成楽器を見てみると、アコースティックギターが重点的に使用されています。これ、パンクというジャンルの楽曲にしては珍しいことだと思うんですよね。
音楽のジャンルの定義や境界というものは非常に曖昧な認識の上に成り立っているのですが(特にロック関係は)、アコースティックギターを使用しているだけで”これはパンクじゃない”と定義付ける人がいてもおかしくないくらい、それくらいアコースティックギターを取り入れているパンク作品というのは珍しいという印象です。
しかし、オープニングの叩きつけるようなアコースティックギターのコードストロークはやっぱりパンクだと思います!
叩きつけるような攻撃的演奏で、上述の『少年』というテーマを表現すると同時に、アコースティックギターの持つ本質的な音色にどことなく“孤独”な雰囲気を感じるのです。
ただ一人、周囲の理解を得られずに“世間への嫌悪感”に対して“反抗”するという“孤独”…。
本作『少年』は、”Boys”ではなく、”A Boy”という一人称単数形が主語の作品なんだと、アコースティックギターの音色が伝えているような気がします。
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