宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
アンダーグラウンドで知的で過激。当時の10代リスナーはある種の選民思想を抱きながら『PIERROT』の楽曲に耳を傾けていたのではないでしょうか。”『PIERROT』を聴かないなんて周りはわかってないなぁ”って。
…それは後の世で中二病と呼ばれるわけですが…。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『脳内モルヒネ』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT

『脳内モルヒネ』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | 脳内モルヒネ |
演奏時間 | 4:54 |
作詞 | キリト |
作曲 | アイジ |
編曲 | Pierrot & 奈良敏博 |
インディーズ時代の楽曲ですが、14thシングルとして再録版がリリースされました。
『脳内モルヒネ』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
CELLULOID | 3 |
DICTATORS CIRCUS -奇術的旋律- | 3 |
HELLO COMPLETE SINGLES AND PV COLLECTION (Disc 2) | 9 |
インディーズ時代のミニアルバム、『CELLULOID』の3曲目に収録。
そして再録ベストアルバムの『DICTATORS CIRCUS -奇術的旋律-』でも3曲目に収録されています。
※『脳内モルヒネ』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
奇作の多い『PIERROT』にあって、特に名奇作と呼んで差し障りない(であろう)楽曲が本作『脳内モルヒネ』。
見るからにおどろおどろしい『脳内モルヒネ』という曲名が中二病心を掻き立てますが、楽曲の方も曲名に負けないほどに聴く者の耳を引き付けます。
まず最初に耳へ飛び込んでくるのはイントロの気味悪いギターシンセの音。
尺八のような和楽器っぽい音に聴こえますが…実際はよくわかりません。気味の悪い音色かつ気味の悪いメロディーなのですが、なぜかリズミカル。暗いとも明るいとも言えない、この奇妙な音楽体験に、当初私は非常に混乱しました。
このアンバランスな調子は歌が入ってからも続きます。特にサビなんか、すごくキャッチー。「脳下垂体は~」なんていう日本語の歌詞に初めて出てきたんじゃないかと思うくらい奇怪な言葉を歌いながら、しかし歌メロ自体はとても覚えやすいんですよね。”ポップ”という言葉を使っても変ではないくらい。
そして、その”唐突なポップさ”が余計に気味悪さを増幅させているという、まさに名奇作!
本作『脳内モルヒネ』をはじめとして、『PIERROT』はインディーズ時代の楽曲をアルバム『DICTATORS CIRCUS -奇術的旋律-』にていくつか再録しています。
多くの楽曲が再録でかっこよく生まれ変わっているのですが、本作『脳内モルヒネ』に限ってはインディーズ時代の『CELLULOID』収録版の方が好きかもしれません。
再録版は上述の気味悪いギターシンセの音が大幅に変わっており、オリジナルの持つ名奇策っぷりが半減しているように思えましたので…。
『脳内モルヒネ』収録アルバムレビューリンク
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