宗教的なカリスマ性と中毒性のある歌詞・サウンドで多大な信者を生み出したバンド『PIERROT』。
アンダーグラウンドで知的で過激。当時の10代リスナーはある種の選民思想を抱きながら『PIERROT』の楽曲に耳を傾けていたのではないでしょうか。”『PIERROT』を聴かないなんて周りはわかってないなぁ”って。
…それは後の世で中二病と呼ばれるわけですが…。
今回は、『PIERROT』の楽曲、『Twelve』のレビューです。
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT
『Twelve』の全体概要
基本情報
アーティスト | PIERROT |
曲名 | Twelve |
演奏時間 | 5:17 |
作詞 | キリト |
作曲 | アイジ & TAKEO |
編曲 | Pierrot & 奈良敏博 |
作曲はギターのアイジとドラムのTAKEOによる共作。
『PIERROT』の楽曲の中でTAKEOが作曲者に表記されているのは本作『Twelve』のみ。
『Twelve』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
CELLULOID | 4 |
インディーズ時代のミニアルバム、『CELLULOID』の4曲目に収録。
※『Twelve』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
アルバム『CELLULOID』収録曲の中で最も聴きやすい1曲と思われるのが本作『Twelve』。ただ、”聴きやすい”というのは、『PIERROT』信者からすれば“物足りない”と判断されるかもしれません。
しかしながら、アルバム『CELLULOID』の収録順を考えると、本作『Twelve』の前にあの奇作『脳内モルヒネ』が配置されていますので、アルバムの流れとしては本作『Twelve』の聴きやすさが”いいお口直し”の役割を果たしているとも言えそうです。
本作『Twelve』で歌われている内容は”再会と別れ”といったところでしょうか。
再会までの「空白」の時間と、それでも結局別れを選んでしまった「運命」。この一連のドラマは、再会までの”過去”と別れを選んだゆえに迎える”未来”を軸にしており、この二つを大きく捉えると“時間”というものが本作『Twelve』キーワードになっているように感じます。
そしてその“時間”というキーワードを端的に凝縮した言葉が曲名にも用いられた『Twelve』という単語ではないでしょうか。
『Twelve』の和訳はご存知の通り数字の”12″です。しかし、この”12″という数字、日常的には“時間”にまつわる数として利用されていると思いませんか?
代表的なところは時計ですかね。一般的なアナログ時計は”12″という数字を頂点に円を描いています。それから、月もそうです(moonではなくmonthの方)。1年を”12個”の月で分割しており、1年で体験する月の最大値は”12月”です。
こんなふうに、私は本作『Twelve』という曲名の意味を”時間”に関する言葉として解釈しています。
もちろんこれが正解かどうかはわかりませんが、こういう”一人謎解き”をしてみるのも『PIERROT』の楽曲の楽しみ方の一つですよね。
『Twelve』収録アルバムレビューリンク
※『PIERROT』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/PIERROT