2016年、申年に復活を遂げた『THE YELLOW MONKEY』!!
ギラギラとした妖しい雰囲気はそのままに、復活後の彼らの楽曲には溢れんばかりの優しさを感じます。
離れ離れになっていた十数年という時間の中、『THE YELLOW MONKEY』というバンドが誕生した奇跡について、ある種悟りのようなものをメンバーたちが感じ取った結果なのかもしれませんね。
今回は、アルバム『9999』の6曲目、『ロザーナ』レビューです。
※『THE YELLOW MONKEY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/THE YELLOW MONKEY
『ロザーナ』の全体概要
基本情報
アーティスト | THE YELLOW MONKEY |
曲名 | ロザーナ |
演奏時間 | 4:44 |
作詞 | 吉井和哉 |
作曲 | 吉井和哉 |
編曲 | THE YELLOW MONKEY |
本作『ロザーナ』の初CD化はセルフカバーアルバム『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』の早期購入特典に”2017 LIMITED SPECIAL SINGLE CD”としての収録です。
『ロザーナ』収録アルバム
アルバム名 | トラック# |
9999 | 6 |
オリジナルアルバム『9999』の6曲目に収録。
※『ロザーナ』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。
レビュー
これまでのイエモンらしさはそのままに、復活後イエモンならではの優しさでいっぱいな名作、『ロザーナ』。
優しさでいっぱいとは言え、ポジティブで前向きな表現だけで埋め尽くされているわけではありません。
むしろ、“どうにもならない運命に対する達観した視線”のような雰囲気が感じ取れます。1番サビの「神様にしか…」なんて言葉はまさにそう。人生をコントロールする上で、一人の人間がいかに無力かということを歌っているように聴こえます。
ただ、こういった”どうにもならない運命に対する達観した視線”というのは、解散前のイエモンの楽曲にも見られたもので、復活後のイエモン特有というわけでもありません。
例えば、解散前ラストアルバム『8』の最終トラック『峠』にも、そういった雰囲気を感じられるかと思います。
では、解散前の楽曲たちと本作『ロザーナ』の違いは何なのか。
それは、“運命に対する捉え方”だと思います。
解散前の楽曲たちは、運命のことをまるで重荷のごとく扱っているように聴こえます。”こんなに辛いけど、どうしようもないから歩いて行かなきゃ”的な感じ。罪を償うためには罰を与えられることを受け入れなければいけない…とでも言うような響きがあります。
こちらは、”達観”というより“諦観“と言う方が近いかもしれません。
一方、本作『ロザーナ』は運命を何の意味付けもせず、あるがままに捉えているような気がします。”誰かと出会った、誰かと別れた、それもまた人生、次に進みましょう”的な。
これだけ見れば、本作『ロザーナ』で言っていることは”優しい”というよりむしろ”冷たい”という印象を持つかもしれません。突き放しているようにも聴こえますからね。
しかし、”運命というものを何の意味付けもせず、あるがままに捉えればいい”と言われれば、それで救われる魂もあるのではないでしょうか?私には、“運命を重荷のように扱って、自分で自分をいじめる必要はないよ”と本作『ロザーナ』は言っているように聴こえます。
それがここで言う”優しい”という意味。
人間とは運命に対して無力。しかし、訪れた運命一つ一つを変に重く受け止めすぎなくてよい…本作『ロザーナ』のこの解釈が正しいかわかりませんが、もし正しいとすれば、やはりバンドの解散・復活という運命をイエモンなりに受け入れてこの境地に至ったものと思います。
そして、そんなことを、それこそ変に気取らない吉井和哉節で炸裂させた本作『ロザーナ』。それは名作という言葉を与えるに相応しい楽曲ではないでしょうか。
『ロザーナ』収録アルバムレビューリンク
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