個別楽曲レビュー

【個別楽曲レビュー】THE YELLOW MONKEY/ロザーナ

投稿日:2019年6月6日 更新日:

2016年、申年に復活を遂げた『THE YELLOW MONKEY』!!

ギラギラとした妖しい雰囲気はそのままに、復活後の彼らの楽曲には溢れんばかりの優しさを感じます。

離れ離れになっていた十数年という時間の中、『THE YELLOW MONKEY』というバンドが誕生した奇跡について、ある種悟りのようなものをメンバーたちが感じ取った結果なのかもしれませんね。

今回は、アルバム『9999』の6曲目、『ロザーナ』レビューです。

※『THE YELLOW MONKEY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/THE YELLOW MONKEY

chess

『ロザーナ』の全体概要

基本情報

アーティストTHE YELLOW MONKEY
曲名ロザーナ
演奏時間4:44
作詞吉井和哉
作曲吉井和哉
編曲THE YELLOW MONKEY

本作『ロザーナ』の初CD化はセルフカバーアルバム『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』の早期購入特典に”2017 LIMITED SPECIAL SINGLE CD”としての収録です。

『ロザーナ』収録アルバム

アルバム名トラック#
99996

オリジナルアルバム『9999』の6曲目に収録。

※『ロザーナ』が収録されているアルバムのレビューもしています。こちらからどうぞ。

レビュー

これまでのイエモンらしさはそのままに、復活後イエモンならではの優しさでいっぱいな名作、『ロザーナ』。

優しさでいっぱいとは言え、ポジティブで前向きな表現だけで埋め尽くされているわけではありません。

むしろ、“どうにもならない運命に対する達観した視線”のような雰囲気が感じ取れます。1番サビの「神様にしか…」なんて言葉はまさにそう。人生をコントロールする上で、一人の人間がいかに無力かということを歌っているように聴こえます。

ただ、こういった”どうにもならない運命に対する達観した視線”というのは、解散前のイエモンの楽曲にも見られたもので、復活後のイエモン特有というわけでもありません。

例えば、解散前ラストアルバム『8』の最終トラック『峠』にも、そういった雰囲気を感じられるかと思います。

では、解散前の楽曲たちと本作『ロザーナ』の違いは何なのか。

それは、“運命に対する捉え方”だと思います。

解散前の楽曲たちは、運命のことをまるで重荷のごとく扱っているように聴こえます。”こんなに辛いけど、どうしようもないから歩いて行かなきゃ”的な感じ。罪を償うためには罰を与えられることを受け入れなければいけない…とでも言うような響きがあります。

こちらは、”達観”というより“諦観“と言う方が近いかもしれません。

一方、本作『ロザーナ』は運命を何の意味付けもせず、あるがままに捉えているような気がします。”誰かと出会った、誰かと別れた、それもまた人生、次に進みましょう”的な。

これだけ見れば、本作『ロザーナ』で言っていることは”優しい”というよりむしろ”冷たい”という印象を持つかもしれません。突き放しているようにも聴こえますからね。

しかし、”運命というものを何の意味付けもせず、あるがままに捉えればいい”と言われれば、それで救われる魂もあるのではないでしょうか?私には、“運命を重荷のように扱って、自分で自分をいじめる必要はないよ”と本作『ロザーナ』は言っているように聴こえます。

それがここで言う”優しい”という意味。

人間とは運命に対して無力。しかし、訪れた運命一つ一つを変に重く受け止めすぎなくてよい…本作『ロザーナ』のこの解釈が正しいかわかりませんが、もし正しいとすれば、やはりバンドの解散・復活という運命をイエモンなりに受け入れてこの境地に至ったものと思います。

そして、そんなことを、それこそ変に気取らない吉井和哉節で炸裂させた本作『ロザーナ』。それは名作という言葉を与えるに相応しい楽曲ではないでしょうか。

『ロザーナ』収録アルバムレビューリンク

※『THE YELLOW MONKEY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/THE YELLOW MONKEY

-個別楽曲レビュー
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

【個別楽曲レビュー】hide/DAMAGE

伝説のミュージシャン…その言葉が最も似合う日本人は、やはり『hide』ではないでしょうか。 カリスマバンド『X JAPAN』のギタリストというポジション、トレードマークの赤髪、ズバ抜けたセンス、そして …

【個別楽曲レビュー】MALICE MIZER/Le ciel

今や芸能人格付けチェックの常連というイメージが強い『GACKT』。その『GACKT』が在籍していたバンドが『MALICE MIZER』です。 音楽業界の中でも異端な扱いを受けがちなV系バンドですが、そ …

【個別楽曲レビュー】PEDRO/自律神経出張中

“楽器を持たないパンクバンド”がキャッチコピーのアイドルグループ『BiSH』。そのメンバーの一人であるアユニ・Dのソロプロジェクトが『PEDRO』です。 アイドルのソロとしては …

【個別楽曲レビュー】GLAY/夢遊病

90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。 ヒットソングだけを取り出してみれば、確かに耳馴染みの良い王道J-POPな楽曲で溢れていますが、ひとたび『GLAY』の …

【個別楽曲レビュー】黒夢/Happy Birthday

ボーカルとベースの二人組という珍しい組み合わせのバンド、『黒夢』。 1994年のメジャーデビュー後、順調にセールスを伸ばしていた中1999年に無期限の活動停止を発表。そしてその約10年後の2010年、 …


執筆者:キャスター
中高生の頃、中古のCD屋巡りばっかりやってました。そんなアラサー会社員キャスターによる音楽レビューブログ。 昔趣味で曲作りをやっていたので、音楽制作者に敬意を払って1曲1曲丁寧に記事を書いていきます。