アルバムレビュー

【アルバムレビュー】GLAY/ONE LOVE

投稿日:2019年3月27日 更新日:

90年代後半、音楽業界の様々な記録を塗り替えていったモンスターバンド『GLAY』。

ヒットソングだけを取り出してみれば、確かに耳馴染みの良い王道J-POPな楽曲で溢れていますが、ひとたび『GLAY』の世界へ足を踏み入れると、そこには成功者ゆえの苦悩に満ちた孤独の世界を垣間見ることができます。

そこは我々凡人にとっては到底辿り着ける境地ではありませんが、その途方に暮れるほどの景色を、TAKUROの紡ぐ言葉とメロディーによって私たちもほんの少しだけ追体験できるような気がします。

今回は、『GLAY』のアルバム『ONE LOVE』のレビューです。

※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY

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『ONE LOVE』の全体概要

アーティストGLAY
アルバム名ONE LOVE
発売日2001/11/28
収録曲数18
演奏時間72:28

メジャー6thアルバム。オリジナルアルバムにして、なんと18曲収録という大ボリューム。

演奏時間はトータル72:28。横須賀線で、東京・田浦間くらいの時間です。

レビュー

『ONE LOVE』の収録曲別お気に入り度

各収録曲のお気に入り度はこんな感じです。

#曲名お気に入り度
1ALL STANDARD IS YOU★★★★★5
2WET DREAM★★★☆☆3
3嫉妬 (KURID/PHANTOM mix)★★★★★5
4HIGHWAY NO.5★★★☆☆3
5Fighting Spirit★★★★★5
6ひとひらの自由 (Johnny the peace mix)★★★★★5
7THINK ABOUT MY DAUGHTER★★★★☆4
8VIVA VIVA VIVA★★★☆☆3
9Prize★★★★☆4
10MERMAID★★★★☆4
11mister popcorn★★★☆☆3
12電気イルカ奇妙ナ嗜好★★★★☆4
13STAY TUNED★★★★☆4
14君が見つめた海★★★★☆4
15夢遊病★★★★★5
16Christmas Ring★★★★☆4
17GLOBAL COMMUNICATION★★★★☆4
18ONE LOVE 〜ALL STANDARD IS YOU reprise〜★★★☆☆3

#3 『嫉妬 (KURID/PHANTOM mix)』がやたらかっこいい!

全体的には#1 『ALL STANDARD IS YOU』、#5 『Fighting Spirit』、#15 『夢遊病』辺りのような重めの楽曲が好み。

※『ONE LOVE』収録曲ごとの個別楽曲レビューもしています。こちらからどうぞ。

『ONE LOVE』全体の感想

21世紀に入って最初の『GLAY』のアルバムが本作『ONE LOVE』。

メジャー3rdアルバムの『BELOVED』から5thアルバムの『HEAVY GAUGE』、それから二つのベストアルバムを含めて5作連続ミリオンヒットを記録してきましたが、6thアルバムの本作『ONE LOVE』の売上が約66万枚と、とうとう100万枚を割ってしまいました。

そういう意味では、『GLAY』の商業的絶頂期はこの辺りで一区切りと考えてもいいかもしれません。

一方、数々のヒット、レコード大賞受賞、前人未到の20万人ライブなど、成功者としての地位を確実なものにしたがゆえに見えた景色が、本作『ONE LOVE』では歌われています。#5 『Fighting Spirit』、#15 『夢遊病』などですね。

この視点こそが本作『ONE LOVE』の醍醐味だと私は思っています。

ただ、こういったタイプの楽曲は過去にもありました。例えば、2ndアルバム『BEAT out!』収録の『軌跡の果て』とか。

しかし、『軌跡の果て』が世に出た当時以上の成功、おそらくその時は想像もしていなかったレベルの成功を収めてしまったために、“成功者ゆえの視点”も本作『ONE LOVE』のタイミングで新たに更新されています。

まさに、高み中の高みから臨んだ景色がこのアルバムでは描かれているわけです。

もちろん、私のような凡人にはその風景に共感できるはずもないのですが、TAKUROの飾らない言葉で表現された成功者の感じる孤独や虚しさは、やはり心に響いてくるものがあります。

本作『ONE LOVE』にはシングルチャートで1位を獲得した#10 『MERMAID』や#17 『GLOBAL COMMUNICATION』等が収録されていますし、それに、かっこよさ満点の#3 『嫉妬 (KURID/PHANTOM mix)』も素敵です。

ただ、繰り返しになりますが、私が本作『ONE LOVE』における魅力は、#5 『Fighting Spirit』、#15 『夢遊病』などの、成功者ゆえの苦悩に満ちた世界を歌った作品にあると思っています。

『ONE LOVE』収録曲の個別楽曲レビューリンク

※『GLAY』に関するその他のアルバム/個別楽曲レビューはこちらからどうぞ: アーティスト索引/GLAY

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執筆者:キャスター
中高生の頃、中古のCD屋巡りばっかりやってました。そんなアラサー会社員キャスターによる音楽レビューブログ。 昔趣味で曲作りをやっていたので、音楽制作者に敬意を払って1曲1曲丁寧に記事を書いていきます。